せっかくなので、いろんな角度からも和菓子を楽しんで頂きたい。
まず、断面。
ミルフィーユなどの洋菓子を頂くとき、フォークを入れたが最後、形は崩れ、クリームははみ出る、なかなか切り分けられない、そして口にする時には、もう既にボロボロ、なんて経験あると思う。
でも和菓子は、茶席のお菓子という重要な役割を担っているため、食べやすさ、そして口に放る、その瞬間まで美しくないといけない。先程の榮太樓さんの上生、早速いただきます。

楊枝を入れてみて驚き、そして溜め息。
外見はきらきらして、梅雨に濡れる紫陽花をかわいらしく表現しているなぁ、とは思っていたが。まさかこんな美しい餡があるとは思ってもみなかった。白小豆に着色が施された漉し餡が、目に見えないほどの薄さの求肥に包まれている。
でも、この色。もし洋菓子に使われていたらどうだろう。
例えばシュークリームの中身がこれだったら‥‥。
シンプルな素材を使った和菓子にだけ許された、自由な色彩表現。
日本の文化的背景を、小さな一つの楕円球状に注ぐ。
既定の枠があるからこそ、一種異様なまでに精巧で美しい世界が、和菓子の中に創造されてきたのだと思う。

こちらのきんとんはオーソドックス。茶席にはこのくらいの落ち着いた色合いが一番しっくりくる。

こちら「雨上がり」という練り切り菓子。裏返してみると山吹一色でないことがわかる。
山吹色から生成(きなり)へ移行する美しい過程に、つい目も心も奪われる。

底深い和の色彩文化と、和菓子職人さんの心意気に、感謝と敬愛をこめて、いただきます。
投稿者 sawacoo : June 3, 2004 12:29 AM | トラックバック